【新】『東大阪むかしむかし』
生駒の山に龍がいた (後編)

龍間の龍、日下の龍、加納の龍と、生駒山には龍の伝説がけっこうありますね。
龍とは、水神である蛇が神格化されたものといい、龍が住むとされる川・沼・淵・池などでは五穀豊穣の祈願や雨乞いが行なわれ、また雨や雷をもたらす雷神でもあり、竜巻となって天に昇ると考えられています。
でもなぜ生駒山に龍なのでしょう?
それは聖徳太子が建立した「四天王寺」に話がさかのぼります。
風水には「四神相応」という概念があります。
東西南北を司る聖獣が王宮や寺院を守護するという考えで、北に山ありて「玄武」、南に池沼ありて「朱雀」、西に道ありて「白虎」、東に川ありて「青龍」とされています。
聖徳太子は、この「四神相応」の思想を取り入れて「四天王寺」を建立したのです。
四天王寺から北に妙見山ありて「玄武」、南は平野で池沼がしばしば氾濫し「朱雀」、西は難波津の港、さまざまなものが来る道「白虎」に対応します。
そして東は「四天王寺の亀の池」に名水をもたらす生駒山。
それには生駒山から流れる水が川に相応し、もともとは青山を青龍としたので、生駒山が青龍となるのです。
そして風水では、山脈の尾根を「龍脈」と呼ぶため、生駒・高安・信貴の生駒山地こそが見事に「龍脈」であるのです。
生駒山地には宝山寺・朝護孫子寺・磐船神社・石切劔箭神社・枚岡神社・恩智神社と霊験あらたな社寺が群れ集い、「八大龍王」を祀ったお寺も本当にたくさんあります。
「八大龍王」とは龍神様のことで水脈を司る雨や雲を呼ぶ神仏混交の水の神様です。
生駒山には龍光寺・龍間寺・龍尾寺はじめ太龍寺や龍眼寺・龍岳院・光龍院に天龍院、さらには方々の神社の境内にも何々龍大神などと龍神様を祭っている祀が本当にたくさんあり、全山こぞって龍神様を祀っているようです。
その極めつけは上四条の山奥の「八大龍王神感寺」の「龍神窟」、宝珠に巻き付いた四匹の大きな龍の石像があたりを睥睨して睨みを利かせています。
上空から見ると生駒山地の尾根は昇ってゆく龍に見え、まさに生駒山こそが龍神様そのものです。
生駒山に龍の伝説が語り伝えられているのも故なきことではないのですね。
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