親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』
その55 じゃことがたろと河内ブナ2021/03/10
昔はあちこちにため池があって、ヘラブナ釣りやってましたねー
がたろのたのみごと
河内ではふなやもろこなどの川の雑魚のことを「じゃこ」と呼びます。
むかし菱江村に、その「じゃこ捕り」のたいへん上手な男がおりました。
その男、その日もいつにかわらず菱江川に仕事へと出かけました。
川べりに腰を据えて、正方形の細かい網を対角線に渡した割竹でぴんと張った四つ手網に竿をつけてじゃこを取りはじめます。
網をあげるとふなやもろこに小エビにどじょう、面白いほど網の上でぴちぴち跳ねるのです。
ひとしきり漁をおえて、川の石橋をわたって帰ろうとしたときです。
どこからか、自分を呼ぶ声がいたします。
しかし、あたりに誰も見えません。
気のせいかとおもいきや、またしても聞こえてくるのです。
「だれやい?」、念入りに見渡しましたが、何一つ見えません。
さすがに気味が悪く、どうやら足元の石橋の下から聞こえてくるようです。
川を覗き込むと、川面が静かに波立って、ぽかりと何かが頭を出しました。
ふわふわした毛布のような髪の毛に黄色く光った皿をのせ、丸~い小さな可愛い瞳、おおきなくちばし、背中の甲ら、まさしく河童!河内弁で言うところの「がたろ」でありました。
「われか、わいの名ぁ呼んだんは。」
「そうだす、実は頼みがおまんねんや。」
「なんやぇ?」
「この川の魚たちから頼まれましてん、すんまへんねけど、あんまし魚とらんどいて欲しいんや。」
「なんやて、魚とんな、あほぬかせ!」
「あんさんは名人といわれたほどのじゃこ捕りや、このままやったら川の魚みなとられてまうんやないかと、川の魚がさわいでまんねん、せやからち~と加減してほしいんですねん。」
「何ぬかしてけつかる、わいはこれで飯食うてんのじゃ、そんな頼み聞けるかい!!」
「そないむごいこと言わんと、どうか頼んますわ。」
「じゃかましわい!!何ぼ言われてもそんな話聞けんわい、そんなら川から出てどっかいったらエエがな!」
とりつく島もありません・・・がたろは悲しそうな顔をして水の中に沈んでゆきました。
その日以来、男の網には、いままでのように魚が跳ねることは無くなってしまったのだそうです。
じゃことり物語
「楠根川ではなァ、揚水ポンプが出来る前、三か所に堰板で水を貯めていて、秋になるとその三か所の樋を一気に上げたもんで、丸々太ったフナ、油ののったナマズがようけおったんや。
その日は子どもたちは朝からそわそわ、学校から帰ってくるやいなや大人に交じって、三角網ですくい上げ、かせ掴み、このまた面白いこと。
桶の中はコイやフナでいっぱいで、沈んだボートの下からは大きなナマズが十匹大暴れ、エラで刺されたらいかんと、うかうか手づかみ出来なんだ。」
「昔はなァ、楠根川はきれいやった、シジミもドブ貝もドジョウもメダカもフナもようけおった。
昆布しいて大豆とじゃこのせて醤油と砂糖でことこと焚くと、「じゃこ豆」がでける、これが河内の名産やった、昔はのどかでしたなァ・・・」
なつかしのじゃこ豆
古人たちのたのしそうな昔ばなしでもうかがえるように、河内ではたくさんの川や水路でフナやコイ、モロコなどの雑魚が豊富に捕れました。
それら川のそばには、田畑に大豆や畦豆(あぜまめ)がたくさん植えられていたそうで、合わせて煮〆た、「じゃこ豆」は河内ならではの郷土食でした。
雨の降った日なぞは、「雨(あま)よろこび」というて農作業を休んで、ゆっくり「じゃこ豆」を煮たそうで、保存食としてもおやつとしても欠かせないものでありました。
「じゃこ豆」は、12、3世紀にはすでにあったと言われ、「じゃこ」は河内の生活にはかかせないものだったのです。
昭和30年代のころまでは川や池でとれた「じゃこ」で「じゃこ豆」はよく作られていましたが、高度経済成長をむかえころ田畑がどんどん工場になってゆき、河川も汚染され、「じゃこ」は姿を消してゆきました。
それまでは、田の水が抜かれる10月ごろ、村中総出でじゃこ捕りをして、小さいものは「じゃこ豆」に、10センチくらいのものは「昆布巻」にしたそうです。
昆布巻ならば河内ブナ
「昆布巻」といえばフナ、「河内ブナの昆布巻き」がありました。
昆布巻を河内弁では「こんまき」と呼びますが、フナ一匹を丸ごとを昆布で巻いて煮た料理で、煮崩れせず硬い骨も一緒に食べることができる、秋祭りなどのハレの日の料理だったそうです。
「河内ブナ」は、「ヘラブナ」とも呼ばれ、普通のフナに比べて大きく、肉が厚く淡白な味わいで、酢味噌で食べると鯉の洗いより美味しいそうです。
しかも、この「ヘラブナ」とは、ゲンゴロウブナの飼育種のことを言うそうで、なんと東大阪が発祥の地なんだそうです。
明治38年ごろ、瓢箪山の養魚家が淀川だけに生息したゲンゴロウブナをため池で飼育したのがはじまりだそうで、普通にいたギンブナより成長がはやく繁殖力が強いので代を重ねるごとに改良されてゆき、ついには「河内ブナ」と名付けられるまでになったそうです。
現在でも六万寺のため池などで養殖されていて、食用以外に、釣魚用として育てられ、全国に出荷され、海外にも輸出されているそうです。
里に流れるめぐみの川
大昔から、河内のくには河の中で、おおくの災いもありましたが、数知れない恩恵にもあずかってきました。
縦横に流れる川や水路は田畑を潤おし、川で取れる「じゃこ」は、農家の大切なたんぱく源でありました。
その川で、人もじゃこもがたろも生かされてきたのです、まさに命の川でありました。
終戦後の治水政策や生活の変化で、そのほとんどの川は役目を終え、埋められたり暗渠となったりして姿を消しました。
しかし、むかしから受け継がれてきた料理には、きびしい生活の中から生まれた知恵や工夫がいっぱい詰まっているのです。
おはなし ひょこタンのパパ
(その55おしまい)
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