親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』
その54 若草の春の河原は宴で暮れる2021/01/05
鍬はじめ
新年あけて一月二日。
朝早く起きますと、お酒とお餅をお供えに、田んぼを回って備中鍬で、稲株三株を掘り起こします。
去年の収穫に感謝して今年の豊作を願う鍬始めの儀式です、河内の百姓の一年はこの日から始まります。
トント
十五日になると小正月。
その前の晩、めいめいの家では正月の飾り物をおろし、それでトントをたてるのです。
六万寺では、「大とんと」と呼んで、朝から直径20の松を5~6mの長さに切りだし芯にして立て、まわりに山から刈りだした雑木を挟み稲藁を詰め込み、古いお札もいっしょに入れて、日が暮れると火をつけます。
このときに子どもたちが願いごとを書いた半紙を、4mばかりの青竹の枝に差し込み、いっしょにくべます。
天高く燃え上がるほど願いがかなうといわれ、たいへん見事なものだったそうで。
燃え尽きた炭火で正月の鏡餅を焼き、明くる15日の小豆粥にいれて無病息災を願い食べたそうです。
菜の花の咲くころ
立春をむかえると、牛を使って田をおこし、掘り返した稲株や土くれを鍬の柄の付け根で砕きます。
菜の花が咲くころになると、肥を桶で運んできて、春をむかえる準備をします。
これから、本当に忙しい田植えのシーズンが始まるのです。
田植え前のひと休み、村のみんなが楽しみにまっていた、「春ごと」であります。
陰暦の二月から四月(新暦で三月~五月)にかけてのお祝い事で、村をあげてのレクエーション、百姓仕事を休んで、近所誘って近くの山や河原へ出向いては、弁当持ってご馳走食べて、踊れや唄えのくつろぎの日であります。
恩智川の堤
加納の村でも「春ごと」は、秋祭りにならぶ楽しい日でありました。
この日は村中のものが朝早うから、牡丹餅や握り飯を拵え、生節の押しずしと巻きずしをお重につめて、酒・茶・かき餅・夏みかんをぶら下げて、ムシロを持って
、だれもみんなウキウキと恩智川の堤めざして歩きます。
ヒバリの声がふりそそぐ、蓮華草でピンクのじゅうたんの畔を歩いてゆくと堤の西側に大きな二本の楠木がございまして、広い河原が続いています。
河原や堤ではいくつものグループが輪になって酒盛りをし踊ったり歌ったり。
男の子たちは、浅瀬に入りフナをとったり、木に上ったりとおおはしゃぎ、女の子や小さな子たちも蝶々を追ったり、茅の茎で茅笛吹いたりして遊んでいます。
堤には、飴屋やアイスクリン売りもやって来て、汗ばむこの天気の下で食べるアイスクリンは一年一度のごちそうであります。
そうこうするうち、また一団、川田村から賑やかにやって来ました。
住吉おどりに伊勢音頭、三味線と太鼓で賑やかに踊りながら身振り手振りも面白く、ついで子どもたちも踊りの輪の中に入って踊ります。
若草のころの恩智川は、一年で一番楽しい春の宴で暮れて行きました。
春ごと
三野郷村でも、恩智川の堤の上でわが村眺めながら重箱の弁当食べるのが楽しみだったと、英田村でも同様に恩智川の堤で唄ったり踊ったり、楽しく過ごしたと語り伝えられています。
枚岡では、4月3日前後に枚岡梅林へ出向いて、よもぎもち、押しずし、玉子焼き、いもの煮っ転がしなどなど持ってゆき、この日一日唄って踊ってごちそう食べて、六万寺では4月16日を山行きと呼んで、往生院で花見を楽しんだそうです。
昭和40年代ごろまでの、まだ農村地帯だった東大阪の各所の村々では、「春ごと」とは地域の絆を深める大切な行事でありました。
「春ごと」の「こと」という言葉には、物事のはじまりと言う意味を持つそうです。
「春ごと」おわれば、田植え、草取り、水入れと暑いさなかの厳しい作業が取り入れまで続くのです。
一年また一年とくりかえし働き続けてきた、河内百姓の深い祈りが込められている言葉です。
いまでは農家も少なくなり、ライフスタイルがすっかり変わってしまいました、しかし、私見ですが、いまなお「春ごと」の伝統は、各町会などの行事に形を変えて受け継がれていってるのやも知れませんね。
おはなし ひょこタンのパパ
(その54おしまい)
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