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親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』

その50  その男、石奉行2020/01/26

大阪城の石垣には、生駒山の石が沢山使われたんじゃ

その男、石奉行

生駒の石を切り出せ

今朝も早くから、クサビを打ち込む槌の音が山々にコダマしている。
天正11(1583)年、生駒の山にセミの声が喧しい夏の日のことである。
又助は、汗をかきかき作業場を見回り、石の切り出しを監督する。
切り出された石は、「善根寺」の恩智川べりから船にのせられ、深野池、寝屋川と経由して大阪へと運ばれる。
そして大阪に出来つつある、今まで誰も見たことがない巨城の石垣に使われるのだ。

その巨城、大阪城の主は豊臣秀吉。
足立又助、又助はその秀吉の家来である。

石垣の石は、遠く小豆島や四国九州からも運ばれているのだが、やはり生駒石が一番。
一番手近にあり、かつ粒子の細かく堅牢な石である。
 生駒の山々(北は龍間から善根寺・日下まで)では、大勢の石工たちが、岩に大きなクサビを打ち付けて大量の石材を切り出している。
 渓谷や山道には、二万人にも及ぶ人足が群がるように働いていたのである。

道鏡と清麻呂

八世紀のむかし。

 怪僧・弓削道鏡 は、天皇の寵愛をほしいままに受け、皇位を狙うまでに増長しました。
 忠臣・和気清麻呂は、道鏡に対抗し、命を狙われ、足の筋を切られて大隅(鹿児島)に流罪にされようとしました。
 道鏡は、刺客を放ちましたが、清麻呂は、くらがり峠で雷雨とともに現れた三百頭のイノシシに助けられて、九州の宇佐八幡宮へとのがれました。
 清麻呂は、八幡宮の加護で、足を治すことが出来、立って歩くことが出来るようになり、都に引き帰して道鏡と対決、これを打ち破りました。
 清麻呂は、感謝して領地に八幡宮をまつり、子孫は足立氏と名乗りその土地を治めてきたそうです。

 阪奈道路の大阪側の登りと下りが分岐している両方の道にはさまれた三角地帯にある、「善根寺八幡宮」こそが清麻呂が創祀した神社と伝えられています。

善根寺村由来記

時は下って戦国時代。

 清麻呂の子孫・足立又助昌成は、織田信長ついで豊臣秀吉に仕え、大坂城の築城にあたって「石奉行」を命じられました。
 生駒山から大量の石材が切り出され、石切り工がたくさんやってきて、このあたりの石材業のはじまりとなりました。

 ちょうどこのころ、奈良からも一団の人たちが、この土地に移住してきました。
彼らは奈良時代、枚岡神社が分霊され春日大社が創祀されたときに、河内の国から枚岡神のお供をして奈良へと移った者たちの子孫でした。
「檜皮(ひわだ)葺き」の技をもって春日大社の造営に携わってきた二十五人衆と呼ばれた人たちです。
 彼らは、豊臣秀吉の「楽市楽座」政策によって、奈良の裕福な社寺のお抱えをやめさせられ、遠い昔にはなれた故郷へと帰ってきたのです。
帰ってきた二十五衆は、山中の一小寺であった「善根寺」のかたわらに住まい、集落に春日神社を勧請しました。

 ちなみに善根寺の春日神社は、日本最古の春日神社であるといい「春日大社」から分かれた「春日神社・第1号」だそうです。

そして、移り住んできた石切り工たちとともに、新しい村をつくりました。
「善根寺村」の誕生です。

足立氏盛衰記

 足立又助昌成の子・仁兵衛宗佐は、引き続き徳川家の石奉行を務め、その石垣普請で得た財力で新田を買い広げ、善根寺村の庄屋として、やがて大名貸しへとまで手を広げて、近在でならぶもののない豪農へと成長してゆきました。

 善根寺には、その足立氏の屋敷跡が今も残されていて、敷地も丸ごと完全な形で残っています。
堀と石垣で囲まれた、東西約110m、南北85m、面積約9400平方メートルもある大規模な砦のようなもので、全盛期の足立氏の力をしのばせます。

 しかし栄枯盛衰は世の習い、貸し付けていた各大名家が困窮するとともに返済も滞り、やがて幕末のころにもなると、足立氏もかの豪壮な屋敷や身代をも失ってしまうことになりました。

まことに残念、残念石

 このあたりには、「大阪城残念石」 とよばれる巨石があちこちに残されています。
 大坂城の石垣として選ばれながら、石垣になれなかった石のことで、運搬の途中に落としてしまい、「落ちた・・城が落ちた・・ゲンが悪い」などと言って運ばなかった石を、そう呼ぶのだそうです。

 足立氏の盛衰も、残念石のようなものであったのやも知れません、が、二十五人衆の末裔の方々は、いまもなお善根寺春日神社の奉仕をされ、代々つづく「御神酒神事」に携わり継承されているそうです。
 
おはなし  ひょこタンのパパ
(その50おしまい)


その51をお楽しみに!

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