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親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』

その26  清酒が醸した鴻池、はじめのはじまり2017/10/31

むかーしむかし、鴻池新田会所に綿が集うようになるまでのお話しじゃ

清酒が醸した鴻池、はじめのはじまり

鴻池の犬

東に聳える生駒山があたかも庭の一部のようにあしらわれた広大な屋敷の片隅に、うららかな日差しを浴びて寝そべっている二匹の犬。

カヤやクスノキの巨樹に囲まれた母屋を中心にたくさんの土蔵や長屋門、敷地内には朝日社と神社まで鎮座しています、ここは大阪の大商人・鴻池善右衛門の新田会所、小作の徴収・年貢の上納・宗門改め・新田内のお裁きなどなど、河内平野の新田の6分の1をも占めるおよそ200haもの鴻池新田を差配する事務所です。

この二匹の犬、一匹はガッシリした体格の白い犬、もう一匹はガリガリに痩せ細った黒い犬で、姿かたちは似なくとも二匹仲の良い兄弟でありました。

むかし、さるお店の軒先に捨てられていた三兄弟の子犬、一匹は亡くなり、一匹は捨てられ、もう一匹は、なんと奇縁あって鴻池善右衛門に貰われて行きました、貰われた子犬は鴻池家で大切に育てられ立派な犬に育ち、まわりのいぬ仲間からも「鴻池の犬」と一目置かれる存在になっていました。

あるとき道でいじめられている痩せた犬を助けると、これは何と!幼き頃に生き別れのわが弟ではありませんか、再会に感謝し、弟の体の療養のために、二匹連れもって大阪市内の本宅からこの河内の田舎の新田までやってきたしだい、余す時間のつれづれに兄は弟に、いかにこの鴻池家の恩がありがたいか、すごいお家であるかを語って聞かせるのでありました。

出雲の鷹

「むか~し、戦国時代の頃や、出雲の国に尼子家という大名があったんや、この尼子家、安芸国の毛利元就に攻め滅ぼされてしもうたんや、それで尼子家を建て直さんと立ち上がったんが山中鹿之助はんという豪傑っや!」

「やまなか、しかのすけ?」

「この鹿之助はん、夜空に輝く三日月にむかって(願わくば、我に七難八苦を与えたまえ)と誓いを立てて主君・尼子家のために尽くしたんや、けれども武運拙く非業の最期をとげはったんや。」

「なんと、気の毒な・・・」

「その鹿之助はんに、新六っちゅう子供がいたはったんや、この新六はん、父親の非業の最期を見て、つくづくサムライに嫌気がさして、もうこれからは武士や無うて商人で身をたてようと故郷を離れ、摂津の国は伊丹にやって来はったんや」

「伊丹?」

月に捧げるは清き酒

「伊丹の里は酒造りの盛んなところや、そこで新六はんは酒造りを始めはったんや、そんで山中の姓を隠しその土地の字名から鴻池と名乗ることにしたんや。」

「へぇ、そのおかたが、この屋敷の旦さんのご先祖さんやな。」

「せや、この酒造り、ようよう軌道に乗ったころ、新六はん、ある日怠け者の奉公人をえらい叱りはったんや、そしたらその奉公人、なにを逆恨みしたか醸している酒樽の中にかまどの灰をぶちまけて逃げくさったんや。

新六はん、そら驚いて落胆して、えらい大損やこれで身代限りかと、樽の中を覗いてみると・・・」

「覗いてみると・・・」

「なんと酒樽の中の酒が美しゅう澄みわたっていたんや! 当時の酒はみな濁り酒、清酒なんてものはあれへん、こら大発見や!!」

「へぇ、ほなら清酒は鴻池の旦さんのご先祖さまが発明したんやな。」

「そこで試しに試しを重ねて、清酒を完成させ江戸へ売り出したんや、それが大当たり!百万人は居ようかという江戸の者に大評判となり、売れに売れたんや。」

「えらい儲かったんやなァ。」

「せやけど新六はんの偉いのはこれからや、父親の拝んだ三日月に清酒を捧げ、誓いも新たに新事業に乗り出したんや。」

鴻池一族の野望

「清酒を江戸まで運ぶには船がいるやろ、その船をやな自分で持って廻送問屋を始めたんや、行きは清酒、帰りは手ぶらや無しに大名家から荷物や米をあずかって運ぶようになり、往復で儲け、その伝手で各大名家の蔵元として米の売買を一手に引き受けるようになったんや。」

「ひゃ~すごいなぁ、ほんま、どてらい男ちゃなぁ。」

「新六はんは、伊丹を引き払い大坂へ出てきて、息子に跡目をゆずり、その息子が初代の鴻池善右衛門はんや、いまの旦さんは三代目、善右衛門宗利はんや。

代を重ねるにつれて、利もおおきいが危険も多い酒造りや廻船問屋から手をひいて、いまでは両替が商売の柱や、お大名にお金を貸し付け、いまではその資産、(天下の富の七割は大坂そのまた七割は鴻池にあり)と言われてやな、この日の本のお金の半分はここの旦さんのモンなんや。」

「凄すぎて声も出んわァ・・・」

「その貸しているお大名や天下に百十藩あまり、(鴻善ひとたび怒れば天下の諸侯色を失う)とまで言われてるんやでェ。」

「そのごっついお大尽がなんでここに新田作って、綿畑の栽培まで始めたんや?」

河内の遺産

 「ここはやな、ほんの少し前まで、新開池っちゅう大きな湖みたいな池やったんや、大和川が堺の方に流されるようになるまでこの池に流れ込んでいたんや、その時分は水害が多くてみな難儀していたんで、幕府は川の付け替え工事をおこない、干上がった川床で新田開発を始めたんや。」

「へェ、いまではその面影もないなァ・・・」

「鴻池の旦さんは、金貸しばかりや無うて、地道に稼ぐ方法もたえず考えてはったんや、それはやっぱり百姓や、農業は国のいしずえやと考えてはったんや、そこに出てきたのがこの新田の開拓や。

そやけど、ここに問題が出てきたんや。」

「どんな?」

「幕府は、大商人がこれ以上力をつけるのを望まんかったんや、せやから新田の入札を百姓や寺、土木の請負人などに制限し、商人を締め出したんや、けど、そんなこと上手い事行くわけあれへん、世の中動かしてるんは商人や、金勘定出きん者には何もなしとげられへんのや。」

「で、どないしたん?」

「請負人の大和屋と中垣内村の百姓・長兵衛に落札してもろたのを、買い取ったんや。」

「うまいことすんなァ。」

「おなじようにして菱屋はんや柏村はんたちも新田の開拓に乗り出したんや、しかし、やっぱり慣れんモンはムツカシイ、新田は次々転売されて、うちの旦さんがそれらを買い取って最終的に200町歩あまりの新田を手に入れはったんや。

つぎつぎ小作人を入れて開拓を進め、それも田んぼやなく、川床の砂地に適した木綿の作付を中心に進めていきはったんや、そやから河内の新田はみな綿や、河内木綿やネン!」

「ホンマやなァ、うちの旦さんは凄いなァ、まさにこの鴻池新田は河内の遺産として残ってゆくやろなァ。」

「な、せやからお前もこの鴻池のお家、旦さんの恩忘れたらアカンでぇ。」

すると母屋の方から。来い来いと言う声が聞こえてきました。

「お昼ごはんの時間や、いこか」と二匹ならんで母屋へ行くと、そこでは、

「し~こいこいこい」と旦さんが、孫を抱かえてシッコさせていたのでした・・・・・。
おはなし  ひょこタンのパパ

(その26おしまい)


その27をお楽しみに!

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