親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』
その14 蓮池の曼荼羅(まんだら)2016/09/06
むかーしむかし、蓮の糸で曼荼羅を編んだ美しいお姫様がいたんじゃ
大蓮
大蓮。
東大阪市の西南部にあり、「おおはす」と読みます。
昭和46年までは「おばつじ」と呼んでいました。
そこではむかし、無数の池が村をとりまくようにあったそうで、なかでも東西40m・南北26mもある「渕側池(ふちかわいけ)」と呼ぶ大きな蓮池がありました。
大蓮の地名は、この蓮池から来ているそうで、この蓮池にまつわる一つの物語があります。
中将姫
むかしむかし奈良に都があったころのはなしです。
右大臣・藤原豊成と、その妻・紫の前には、なかなか子供が出来なかったのです。
どうしても子供が欲しい二人は、長谷寺にお詣りし、願をかけました。
御仏のご加護か、かいあってかわいい姫が誕生したのです。
姫は、長谷姫と名付けられ、両親の愛情を一手に受けすくすくと育ちました。
が、幸せな日々は長くは続かぬもの、姫が五歳の折りのこと、
ふとしたはやり病で、母・紫の前はこの世を去ってしまいました。
年端もいかぬ姫を抱え、やむなく父の豊成は、人の勧めもあって後妻をむかえたのです。
ところが、新しい母・照夜の前は、顔かたちこそ美しくありましたが、嫉妬深い性格でありました。
継子の長谷姫がなにかと気に入らず、邪険にするのでありました。
それでも姫は、ほほえみをたやさず、照夜の前に尽くしていたのです。
姫が九歳のとき、帝の御前で琴を演奏することとなりました。
その音色のあまりの美しさに朝廷のだれしもが驚嘆し賞賛し、そして姫に中将の位を授けることとなりました。
「さすがに姫さまじゃ、中将姫さまとおよびしなければ。」
家来たちがわがことのように喜ぶ姿を見て、照夜の前はとうとう我慢できなくなったのです。
嘉藤太
「姫を殺しなさい」
家来の嘉藤太(かとうた)は、照夜の前の言葉にわが耳を疑いました。
おりしも豊成はお役目で遠い九州へと出向中、留守をあずかる照夜の前の命令は絶対です。
嘉藤太は、姫を宇陀の雲雀山へとつれだしたものの、思いあぐねて、姫の前に手をついてすべてのことを打ち明けました。
「よく打ち明けてくれました、つらかったことでしょう。
わらわはもう家にはもどるまい、このまま亡き母への供養をして、この山の中でくらします。」
と、悲しそうに目をふせました。
嘉藤太の妻は姫の乳母、手塩にかけてお育て申したその姫を、なんで殺める事なぞ出来ようか・・・・
そして嘉藤太ともども照夜の屋形を去り、姫をお守りすべく宇陀の雲雀山へと入って行ったのでした。
豊成
それから、三たび目の春がやって来ました。
宇陀の山々は、大勢の勢子のざわめきでコダマしています。
右大臣・豊成の狩りの日でした。
無事、九州から手柄を立てて帰ってきたものの、愛しの姫は男と駆け落ちしたと照夜の前に聞かされ、鬱々と楽しまぬ日々を送っておりました。
何もかもを忘れるように豊成は、けものを追って、ただ一人で山中ふかくのぼってゆきました。
深い藪をさまよっているうちに、一人の娘に会い、道を聞こうと呼びかけて、はっとしたのです。
「姫か・・・・」
「お父上・・・・」
かけつけた嘉藤太からすべてを知った豊成は、姫に都へ帰ろうといいました。
が、姫はしずかに首を振り、都へは帰らず御仏に仕えて暮らしたいと申します。
姫の決心がかたいことを知った豊成は、姫を大和の當麻寺に送りとどけたのです。
曼荼羅
中将姫は、當麻寺にて、ひたすら祈りをささげておりました。
十七歳のとき、姫は三七日の願を立てて念仏三昧に入り、その満願の日の暁のことです。
どこやらか声が聞こえてきて、
「われは長谷観音の化身である、われの申すこと良く聞くがよい。
百駄の蓮の茎を集め、その蓮糸の筋をとって曼陀羅を織りなさい。」
姫はたくさんの蓮の茎を集めはじめました。
そしてその蓮の茎を冷たい水にさらして、一本一本糸をとり、手は真っ赤にひび割れても、休むことなく糸を織りつづけてゆきました。
が、百駄の蓮の茎ともなると、なかなか集めることが出来ません。
父・豊成は見かねて、帝に願い出ました。
帝は、さっそく近江・河内・大和の三国に良質の蓮糸を探して納めよとの詔を出されました。
嘉藤太の妻は河内の出身であり、その里には大きな蓮池があるとのこと。
そこで大蓮の「渕側池(ふちかわいけ)」の蓮が選ばれ、九十駄の蓮の茎が姫の元に届けられました。
姫は、寝ることも食べることも忘れ、ひたすら糸を織りつづけて行きました。
嘉藤太たちは、日に日に弱ってゆく姫を案じたものの、もはや声をかけることもできません。
そして二十一日目の夜。
曼陀羅はついにできあがりました。
姫は曼荼羅をお堂の壁にかけると、静かに手をあわせました。
曼陀羅に描かれているのは、仏の世界。
美しい花、天女たち、織りこまれたその中に、
姫は! やさしくほほえむ母の姿を見出したのです。
朝日がお堂の中に差し込んできました。
やわらかな日の光は、冷たくなって横たわる姫の体をやさしく包み込んでゆきました。
姫の顔にも、やさしいほほえみが浮かんでいました。
おはなし ひょこタンのパパ
(その14おしまい)
PICK UP 東大阪のお店 ~学ぶ・スクール~
永塾
東大阪市永和2-2-32 TKビル2階
[ 個別指導学習塾 ]
新規生徒募集中! 個別指導学習塾「永塾」 河内永和駅よりすぐ。
大阪府立布施工科高等学校
東大阪市宝持3-7-5
[ 高等学校 ]
布施工科高校は、ものづくりの街、東大阪にある工科高校です。
ダイオン音楽教室
東大阪市花園本町1-6-11 三鈴ビル3階
[ 音楽教室 ]
ピアノ・エレクトーン生徒募集中! 子供~大人まで
HOS 小阪フィットネスクラブ
東大阪市下小阪2-11-1
[ フィットネスクラブ・スポーツジム ]
小阪フィットネスクラブは天然温泉が併設した施設です
NPO東大阪青少年スポーツ育成クラブ
東大阪市日下町1-10-8
[ スポーツ事業(コ-チング) ]
スポーツを通じて 健全な家庭環境をつくるために活動しています。