8月某日、ハローワーク布施の大ホールで実施された合同企業面接会に参加されたばかりのＥさんが怯えた顔で職業相談窓口に来られた。

怖い人が居るんだよ。俺がホールに入った時から強い視線を感じて、そっちを見たら企業ブースのパーテーションの陰から小柄な爺さんが睨んでるんだよ。恨めしそうな憎しみのこもった目でじーっと見てるんだよ。
しかも、その企業ブースって、俺の受けたいところなんだよ。そんな怖い爺さんが居るのに企業の人は和気あいあいとしてて、まるで俺にしか見えてないみたいなんだよ。俺が移動しても視線を外さないんだよ。あの顔、どこかで見た気もするけど思い出せないよ。俺、呪われてるのかなぁ？怖くて面接に行けないよ。

あれ絶対に見えてはいけないヤツだよ。

そう話すＥさんに窓口で待ってもらい、私は大ホールに向かった。

五分後、職業相談窓口で怯えるＥさんに私からこう伝えた。
「あなたが見たと言う老人はあの企業の社長さんです。今朝、この会場に向かう電車内で優先座席に座り大声で電話する若者に注意をしたところ、『うるせえじじぃ』と言われたそうです。その若者を偶然面接会で見つけ怒りが湧いてきたとおっしゃっていました。面接は社長自ら行うそうですがどうされますか？」

ご注意願います！