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親子で楽しむ 『東大阪むかしむかし』

その38  たかたかぼうずが出た!2018/08/28

むかーしむかし、あちらこちらで怖がられた白ーいオバケがいたんじゃ

たかたかぼうずが出た!

夜の世界

 今とちがい、昔の夜はくらかった・・・

 日が落ちると、あたり一面は漆黒の闇に閉ざされます。

 外には街灯なぞ一切なく、自分の手先足先ですら定かではなくなります。

 頼りになるのは月明かりに星明り、かりに提灯を下げていたとて、せいぜいが足元を照らす程度、一間先になにがあるかなぞ到底わかりません。

 夜のとばりが落ちると、闇の世界がはじまるのです。

 明るい昼の世界とはちがう、あやかしの宇宙がそこに広がっていたのです。

宇波神社のおかげ燈籠

加納の村の宇波神社の奥に、娘とその母親のふたり暮らしの小さな家がありました。

ある冬の夜のこと、母親が突然高い熱を出して苦しみだしたのです、ひごろのきつい農作業の疲れが出たようなのですが、娘が一心に看病してもいっこうに熱がひきません。

苦しむ母を見かねて、かねがね嫁入りにと貯めていた虎の子の銭を握ると、村の医者まで薬を買いに走りだしました。

冬の夜風は冷たく頬をさし、どの家も雨戸を閉ざして寝しずまっています。

医者の門を叩き薬を分けてもらった娘は、ほっと息をつぐや家へと駆け戻ります。

神社のおかげ燈籠のそばには、枯れたススキがかさこそとざわめき、走るたびに提灯の灯が消えそうになります。

消えてはならじと立ち止まると、ちょうど燈籠の前。

ふと、あたりにただよう何かの気配に顔をあげると、これは・・・

大きな燈籠の傘のところに、白い着物の袖をだらんと垂らしたおおきな坊主が白目を大きく開き、舌を出して笑っていたのです。

「たかたかぼうず!!」

悲鳴をあげて娘は、草履も跳ね飛ばして逃げ帰りました。

どんなにか恐ろしい事であったでしょうか、しかし母の薬だけは肌身離さず抱いていたのでした。

この日以来、昼でも宇波神社のおかげ燈籠の前には人が通らなくなったそうです。

六助の樋の土手

玉串川が、吉田川と菱江川にわかれるところに大きな堰がありました。

六助と言う人が守っており、みなこの堰を「六助の樋」と呼んでおりました。

田畑にとって水は欠かすことが出来ません、その時々の排水や給水は、「六助の樋」の開き加減に関わってきたのでした。

ある梅雨の日のうっとおしい夕方のこと、ふり続く雨に不安を覚えた岩田村の庄屋は、川の様子を見にゆき、六助と打ち合わせてをしておりました。

その帰りのことです、背中のほうから何か声が聞こえてきたように思い、後ろを振り返りました。

番傘をあげ薄暗い道をじっ~とみましたが何も見えません。

気のせいかと五、六歩、歩いた時、異様な気配を感じて立ちどまると!!

番傘の上から、大きな「たかたかぼうず」が、逆さまに笠のなかの庄屋の顔を覗き込んでいたのです。

そして大きく長い舌を出して笑っていたのです。

庄屋はびっくりして番傘を放り投げ、気味の悪い笑い声を背中に貼り付け、家へと駆け戻ったのでした。

それからというもの、だれもひとりではその道を通らなくなったそうです。

善根寺の京街道

善根寺に住まう男、ちょうど用事があっての帰り、丑三つ時にもなりましょうか、すっかり遅くなったので京街道を急ぎ足で帰ってゆく途中のことでした。

その男、たいへんな臆病者、おそろしいおそろしいと怯えながら足早に歩いておりますと、道のそばに一本の大きな松の木があり、月の光がその松の木の姿を映し出していました。

そこには・・・

松の枝からだら~んと、大きく白目を開き長く舌を出した「たかたかぼうず」が垂れ下がっていたのです。

男は悲鳴を上げ、腰を抜かし、ぶるぶると震えだしました。

このまま食べられてしまうのか、と思うと、家に残してきたヨメと子どものことが頭によぎります。

なんのこのままやられてたまるか、と心をふるいたたせ、立ち上がって足を踏ん張り、思いっきり目を大きく見開いて、

「なんの、そんな目ぇなぞ怖くないぞ、わいの目の方が大きいやろ、もっと目ぇ剥いてみぃ。」

とけしかけ怒鳴りつけました。

すると「たかたかぼうず」は、もう一層大きく目を見開いて白目を剥きました。

男も負けずに白目を剥きます、するとむこうも負けずにもひとつ白目を剥くのです。

これ以上大きく目を開けれんと思った男は、ふと先ほどの用事で頂いた二つの丸餅を思い出したのです。

とっさに二つの餅を両手に持って、目に当てがい、「どやっ!これでもかい!!」と、顔を突き出しました。

「たかたかぼうず」負けてはならじと、さらにさらに目を見開きます、と、その時です。

力を入れすぎたかドシンと「たかたかぼうず」は松の木から落ちてしまったのです。

男、ふぅと息をつぎ、今の内だと家へ逃げ帰りました。

朝になって、その街道を通る人たちは驚きました。

道のそばの松の木の下に、大~きな古ダヌキが、白目を見開いたまま倒れていたのでした・・・・

昼の世界

 夜の世界には、さまざまな妖しいものたちがいたことでしょう。

 「たかたかぼうず」の話は、ここに紹介した話だけでなく、奈良や四国などにも伝わっています。

 タヌキは夜に必ず化け、ヒトも知恵をしぼってやり合ってきました。

 しかしそれも昔のこと、明るくなった夜からは、夜の世界は消え、昼の世界のつづきとなりました。

 でもそれは表に見える印象だけ、あやかしの本体はひとのこころ、今なお、人間の心の中に巣くっているのやもしれません。
 
おはなし  ひょこタンのパパ
(その38おしまい)


その39をお楽しみに!

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